2012年11月13日火曜日

原発の非倫理性



 布施祐仁著『ルポ イチエフ:福島第一原発レベル7の現場』(岩波書店、2012年)の書評が、11月11日付け『しんぶん赤旗』の「読書」欄に掲載されていました。評者はジャーナリスト、元関東学院大学教授の丸山重威氏です。「イチエフ」とは「福島第一原発」の意味です。

 この本は、これまで指摘されながら、なかなか表面に出なかった問題、そして、同原発の事故によってようやく誰の目にも明らかになってきた問題を掘り下げています。著者は現場の作業員50人をインタビューして、「使い捨て」労働者の実態を描き出しているということです。丸山氏は「犠牲者を出さずには成り立たない原発という技術は、非倫理的だ。原発を考える人には必ず読んでほしい本だ」と記しています。

 原発は、捨て場のない核廃棄物を大量に出す不完全な技術であるばかりでなく、事故がなくても、定期点検などで「使い捨て」労働者に頼っており、一旦事故が起これば、事故処理のために働く多くの人たちを犠牲にするだけでなく、広範囲にわたる周辺の住民の暮らしまで破壊します。これらのことは、非倫理性以外の何ものでもありません。政府・財界の人たちに人間的な心が少しでもあるならば、このような技術に頼ることを一刻も早く止めようとの多数国民の要求に応じて貰わなければなりません。

多幡記