2012年12月1日土曜日

『平和国家の原点に 憲法9条 重い沖縄の記憶』東京新聞


 11月29日付け『東京新聞』は、「争点の現場」と題するシリーズの「下」として、表記題名の記事を掲載しています。執筆した金杉貴雄記者は、世界遺産の一部として有名な首里城跡から北東3キロに位置する沖縄県西原町を訪れ、「西原の塔」と呼ばれる沖縄戦慰霊碑のそばに、同町で犠牲になった当時の村民5260人の名前が刻まれた碑が並んでいるのを見ました。名前の左わきに「0、3、45、1、14、73、…」と刻まれた数字の意味が、初めは分かりませんでしたが、それぞれの年齢だと知り、また、0歳を含む幼い子どもの多さに、胸がしめ付けられたそうです。

 記事はさらに、次のことを伝えています。
 [沖縄の人々の]怒りの矛先は、日米同盟強化を旗印に、沖縄への在日米軍の負担をさらに強めようとする政府に向かう。沖縄戦の重み。多くの政治家はかみしめてほしいと願う。
 今回の衆院選では、憲法9条へのスタンスをめぐって、各党間の違いが出ている。
 自民党は改憲で自衛隊を国防軍に位置づけることを打ち出した。また集団的自衛権の行使を可能にする「国家安全保障基本法」制定も盛り込んだ。
 自衛隊を軍として認めることは、単に名称を変更することにとどまらない。実際、安倍晋三総裁は国防軍に関して「海外と交戦するときは交戦規定にのっとって行動する」と明言。交戦規定を法的に整備する意向を表明している。
 平和憲法の理念に基づき、専守防衛に徹し海外で一発の銃弾も撃ってこなかった自衛隊。その性格が大きく変わる可能性もある。
 海外から右傾化の懸念が指摘される中、日本維新の会も集団的自衛権の行使を容認。石原慎太郎代表は現憲法破棄が持論だ。改憲発議のためには、衆参両院の三分の二以上の賛成が必要だが、自民党や維新の会などの勢力が伸びれば、その一里塚となることも考えられる。
 外交交渉で解決すべき領土問題にあおられて、国民が憲法9条改悪をもしも許すことになれば、日本はいくつもの戦争を引き起こして太平洋戦争で苦い敗戦の苦しみを味わった道を、再びたどることになるのです。そのような愚かなことを決して、してはいけません。

多幡記