2013年3月29日金曜日

「自民党の猫なで声」:朝日紙

 3月27日付け朝日紙夕刊「窓 論説委員室から」欄が、表記題名の記事を掲載しました。記事は「改正手続きをさだめた96条の見直しを突破口に、安倍政権は憲法をどんなふうにしたいのか」、「9条もさることながら、気になるのは民主政治を支える21条の扱いだ」として、自民党の『日本国憲法改正草案』の一部についての批判を記しています。以下に、自民党案を参照して、「窓」欄の批判を分りやすく説明してみます。

 現憲法の12条でも、「憲法が国民に保障する自由及び権利」について、「常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う」と書いてあり、裁判所がチェックと調整の役目をになってきています。自民党案は、まずこれを「常に公益及び公の秩序に反してはならない」と変えて、規制色を強めています。そして、さらに表現の自由についての21条で、現憲法の同条にない第2項を設け、「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、ならびにそれを目的として結社をすることは、認められない」と書き加えています。

 「公益及び公の秩序」を重ねて持ち出すのは、法の構成としてもまことにお粗末だと筆者は思いますが、「窓」欄もこれを「二重のしばりをかけるつくりになっている。ずいぶんと念の入った話で、私はそこに表現の自由に対する『敵意』を感じてしまう」と批判しています。

 また、「窓」欄は、自民党の『日本国憲法改正草案 Q&A』の Q14 への答に、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に変えることによって、「人権が大きく制約されるものではありません」と書かれていることを述べ、「たいしたことありません。大丈夫ですよ」と「権力が猫なで声を出すときは、こわい」と指摘しています。最近、記事の政権寄り傾向がはなはだしい朝日紙ですが、たまにはよいことを書いています。

 私たちは、自民党案から「窓」欄の指摘するこわさ以外にも多く存在するこわさを読み取り、このような憲法改悪を決して許さないようにしなければなりません。

 なお、『しんぶん赤旗』に連載された「解剖 自民党改憲案」(1月11~25日付け、全12回)が一部加筆されてパンフレット『全批判 自民党改憲案』として発行されました。自民党改憲案の条文全体が検討されています。A5判、定価200円(税込)、送料80円、購入は最寄りの共産党事務所か出版局まで、となっています(こちらの広告を参照しました)。

多幡記

 後日の追記:朝日紙「窓 論説委員室から」欄の記事をほめた直後の2013年3月末で、同欄は終了となりました。

2013年3月27日水曜日

4/7 講演「つながりを求めて15年:とっておきの話です」堺市西区で


 表記の講演が4月7日(日)午後6時半から、堺市西区鳳東町5丁 野田会館で開催されます。上掲のチラシは、クリックすると拡大イメージがご覧になれます(会場の地図はこちら)。

 この講演は鳳野田第三自治会定時総会記念に行なわれるものですが、総会に先立って行なわれる講演の部には、どなたでもご参加出来ます(参加費:無料)。講師の武南千賀子さん(社会福祉法人野のちから理事長)が、障がいをもつ人の働く場としての店「野のちから」を作りはじめて15年の経験をざっくばらんに話されます。

 なお、「野のちから」さんは九条の会を作って活動されていて、学習会の共同開催など、本会も何かとご協力いただいています。

多幡記

2013年3月26日火曜日

紙芝居『日本国憲法 変える? 変えない?』


 表記題名の紙芝居を新日本婦人の会が作製し、評判になっています(上のイメージはその表紙)。8枚からなるこの紙芝居は次のような呼びかけから始まります。
 いま、「憲法を変える」という人が昨年末の総選挙で多数になり、憲法を変える動きが強まっています。でも、そもそも「日本国憲法」ってどんなものでしょう? 何が書かれているのでしょう? 「日本国憲法」変える? 変えない? みなさん、紙芝居で、ご一緒に考えてみましょう。
 登場するキャラクターは、9条さん、憲子(けんこ)さん、法子(ぽうこ)さん。9条さんは、憲法9条についてのクイズを出したり、世界中(188カ国)の憲法を調べてみた結果、「日本国憲法は、いまでは世界で当たり前になっている "女性の人権" や "教育の権利" や "健康で文化的な生活をする権利" など、たくさんの「権利」が66年も前から盛り込まれている最先端の憲法」と説明したりします。

 9条さんはまた、「どうか、わたし9条を変えないで! 戦争なんかしちゃだめです! もっとわたしたちを使ってください」とアピールもします。

 この紙芝居は、新日本婦人の会のホームページからダウンロード出来ます(テキスト面とイラスト面が別々の PDF ファイルになっています)。

 (以上、3月26日付け『しんぶん赤旗』の記事「憲法 紙芝居で考える:9条 変える? 変えない?—新日本婦人の会が作製」を参考にしました。)

多幡記

2013年3月25日月曜日

「九条の会」メルマガ第161号:「衆参両院の憲法審査会が再度、動き出しました」

 表記の号(2013年3月25日付け)が発行されました。詳細はウェブサイトでご覧になれます。運動に活用しましょう。以下に、編集後記を引用して紹介します。なお、メルマガ読者登録はこちらでできます。
編集後記~衆参両院の憲法審査会が再度、動き出しました

 3月13日(水)午後に参院憲法審査会、14日(木)午前に衆院憲法審査会の審議が再開しました。

 国会の他の委員会では類例を見ないほど、多くの市民が連日、傍聴に駆けつけています。衆議院は会長も自民党に代わり、日本維新の会も幹事を出すなど、改憲派政党の委員が圧倒的多数で、様相が一変しました。参議院は次回は4月3日ですが、衆議院は3月21日(木)も開催するなど、毎週でも開く構えです。96条改憲に向けた布石でしょうか。

 さて、1点、お知らせです。昨年9月に開催した「三木睦子さんの志を受けついで 九条の会講演会――今、民主主義が試されるとき」の記録が、間もなく岩波ブックレットとなって出版されます。呼びかけ人の奥平康弘さんと事務局長の小森陽一さんの対談が新たに組まれ、充実した内容です。ブックレットのタイトルは「いま、憲法の魂を選びとる」、4月4日刊行予定です。

2013年3月23日土曜日

「いつの間にか始まっている」戦争こそが恐ろしい:赤川次郎氏

 赤川次郎さんが『図書』誌に連載しているエッセイ「三毛猫ホームズの遠眼鏡」は、3月号で第9回となりました。今回の題は「灯台はどこを照らすのか」です。先般、NHK の「クローズアップ現代」(注 1)で、「木下恵介の映画が、いま、世界で注目され、また現代の日本の若い世代に共感を持って見られていることが報告されていた」と始まっています。

 そして、「木下恵介の原点は、『戦争』、『貧困』、そして『封建的な因習』への怒りである」、「灯台守夫婦の歳月を描いた『喜びも悲しみも幾歳月』にも、戦時下、アメリカ軍の標的となって攻撃を受け、何人もの灯台守が犠牲になったことが描かれている」と述べています。

 赤川さんは続いて、尖閣問題で硬直化した安倍政権の姿勢に関連して、「初めは、戦争とも戦闘とも呼べない小ぜり合いが、やがて、犠牲者を出し、その報復を叫んで攻撃し、という風に、『いつの間にか始まっている』戦争こそが恐ろしいのだ」と警告し、「私たち一人一人が、『戦争をしない』という意志を強く持つしかない」と訴えています。まさに、私たち一人一人が、憲法9条を守りいかす決意を新たにしなければならない、ということです。

 赤川さんはさらに、「戦争」だけでなく「貧困」も目の前の問題であるとして、「今、木下作品を見る人は、どんな涙であれ、この社会と深くつながっていることを忘れないでほしい」と望んでいます。

 木下恵介の映画という灯台が、領土問題をめぐる戦争への危険や、生活保護費の不当な切り下げによる貧困の加速などの、現在の状況をも照らしていることに、私たちは気づき、そういう状況の改善を求めて行かなければなりません。


  1. 赤川さんの文の末尾に、「映画用語としては『クローズ』と濁らず、『クロースアップ』が正しい、のだそうである」とあり、私も辞書を引いてみたところ、そうだと分りました。

多幡記

2013年3月20日水曜日

4/14 総選挙敗北を見すえ 立ち直りの途を探る:とめよう壊憲! 護憲結集! 討論集会


 表記集会が下記の通り開催されます。
  • と き:2013年4月14日(日)13時30分~16時30分
  • ところ:神戸市勤労会館 405/406号室
        (JR・阪神・阪急「三宮駅」東南5分)
  • 問題提起:広原 盛明 さん(元京都府立大学学長)
  • 質疑、討論
  • 資料代:700円
  • 主 催:4・14とめよう壊憲!護憲結集!討論集会実行委員会
  • 問い合わせ:憲法の改悪に反対する元教職員ひょうごネットワーク、Eメール minami2satou@kxa.biglobe.ne.jp (佐藤三郎)
 上掲のチラシのPDFは裏面と合わせて、こちらからダウンロード出来ます。

2013年3月16日土曜日

「衆院憲法審査会 9条姿勢の違い鮮明」:東京新聞の記事ほか

 衆院憲法審査会は3月14日、昨年12月の衆院選後、初めての実質審議を行いました。第二章「戦争の放棄」をめぐる各党の意見表明については、『東京新聞』の記事が、自民党と日本維新の会、みんなの党が集団的自衛権の行使などを認める9条改正を一致して求めたのに対し、公明党は「認めるべきではないとの意見が大勢だ」と否定的な考えを強調し、姿勢の違いがあらためて鮮明になった、と報じています(表記題名も同記事から)。さらに、同記事は、「衆院憲法審査会で示された9条に対する各党の姿勢」を表で分りやすく示しています。

 他方、『朝日新聞』の記事は、 "自民「国防軍明記を」"、"9条改正 維新とみんな同調"、"民主退潮 改憲派に勢い" などと、事実ではあるにしても、読者に改憲ムードを押し付けるような見出しばかりを並べたてていて、いかがなものかと思われます。また、朝日紙の記事中には、民主党の山口壮氏の発言が「9条改正のタイミングが果たして今なのか、慎重に考えた方がいい」というに「とどまった」と、発言を矮小化するかのような主観的表現を付記して報道されています。

 しかし、『しんぶん赤旗』の記事によれば、同氏のこの発言は、「[共産党の]笠井氏から根源的な話しがあった」という言葉に続いてなされたものであり、その立場は、笠井氏の発言「憲法9条は日本が世界平和のさきがけになるという国際公約だ。9条をいかした自主自立の外交を行ってこそ、アジアと世界の平和に貢献し、本当の信頼を得られる」に近いものと見るべきではないでしょうか。

 さらに朝日紙は、「社民党が衆院選で議席を減らし、審査会委員の割当を失ったため、はっきり護憲の旗を掲げる政党は共産党だけとなった」と述べています。しかし、各紙の今回の討論の記事を見る限り、公明党も、少なくとも第一章(天皇制)と第二章(戦争の放棄)については、護憲の立場を明らかにしており、朝日紙の表現は、「はっきり護憲」の言葉を入れてはいるものの、憲法全体について護憲の力がきわめて弱くなったとの誤解を招きかねないものといわなければなりません。

多幡記

2013年3月14日木曜日

"安倍首相 9条改正に意欲:いよいよ「安倍カラー」"、"「国連活動」はごまかし"

 安倍首相が3月9日、BS朝日の番組で、将来的に憲法9条を改正し、国連の判断で軍事的な措置などで侵略行為を除去する「集団安全保障」への参加に意欲を示したことを10日付けの各紙が報道しました。表記前半の題名は『毎日新聞』の記事のものです。

 同記事は、「これまで憲法改正の発議要件を定めた憲法96条の見直しを訴えてきたが、より踏み込んだ」とし、首相はまた、「国際紛争を解決する手段として武力行使をしないとなると、(国連の)集団安全保障において日本は責任を果たすことができるのかという議論が残る」と説明した、と述べています。

 自民党の憲法改正草案では、現憲法の9条第1項にある「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」を「武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない」という表現に弱めていますが、首相の説明は、これでもまだ変え足りないといっていることになります。

 この日の首相発言に対して、10日付け『しんぶん赤旗』は "「国連活動」はごまかし" と題する解説記事を掲載しています。解説は、「首相が改憲で国連の集団安全保障活動(軍事活動)に参加するとしたことは、繰り返し明言する96条改訂の狙いが9条の全面改悪にあることを明確にしたもの」と述べています。また、改憲案の「国防軍の活動」の項には「国連」と言う言葉さえはずしてあり、首相の「国連活動への参加の道を残す」という言い方は、自民党改憲案の危険な本質をごまかすものであり、結局、米国とともに海外で戦争する体制づくりを狙うもの、と鋭く指摘しています。

 私たちは、このようなごまかしに騙されてはなりません。国連への協力は、必ずしも軍事行動によらなければならないものではありません。首相自身も認めていたように、国際連合憲章第7章に基づく、安保理が指揮する国連軍が組織されたことはこれまで一度もないことにも注意すべきです。

多幡記

2013年3月13日水曜日

「戦争への道 許しません」:9条守る女性アピールの会が意見広告発表へ

 女性団体でつくる「9条守る女性アピールの会」が、国際女性デーの3月8日、衆院第2議員会館で記者会見し、作家や歌手など女性著名人が呼びかけるアピール「女性は戦争への道を許さず、憲法9条を守ります」を、5月3日の憲法記念日に全国紙に意見広告として発表することを明らかにしました。3月9日付け『しんぶん赤旗』が報じました。

 呼びかけ人には、雨宮処凛(かりん)(作家・活動家)、UA(ウーア)(歌手)、澤地久枝(作家)、田中優子(法政大学教授)、竹信三恵子(ジャーナリスト)、湯川れい子(音楽評論・作詞)の6氏が名を連ねています。アピールは、「憲法9条を変えて日本を再び『戦争できる国』にすることを絶対に許しません」と訴えています。

 問い合わせ=日本婦人団体連合会(電話)03 (3401) 6147

2013年3月11日月曜日

「九条の会」メルマガ第160号:「学習会・憲法9条の新たな危機に抗して」超満員で熱気に満ちて開催、昨年衆院選は「違憲」と東京高裁、など

 表記の号が2013年3月10日付けで発行されました。詳細はウェブサイトでご覧になれます。運動に活用しましょう。以下に、九条の会事務局・九条科学者の会共催「学習会・憲法9条の新たな危機に抗して」(さる3月3日開催)についての記事と編集後記を引用して紹介します。なお、メルマガ読者登録はこちらでできます。
九条の会事務局・九条科学者の会共催「学習会・憲法9条の新たな危機に抗して」は超満員の450名を超える参加者で熱気に満ちて開催されました
 学習会は3月3日(日)13:30から明治大学駿河台キャンパス・リバティタワーで開催されました。会場には開催時間前から、首都圏だけでなく、北海道や九州地方の会の方々など、全国各地からたくさんの参加者の皆さんが待機する状態でした。
 事前に幾人もの方々からおたずねがありましたが、従来、この「事務局主催学習会」は200~300人程度の規模で行っており、事前予約制もとっておりませんでした。会場が超満員になり、できるだけ現場対応しましたが、やむなくお帰りいただいた方も少なくなく、申し訳ないことでありました。
 講演の録画は九条の会のサイトにUPする予定です。ご期待下さい。
 なお、当日、会場で小森事務局長から次回は、6月8日午後、在日本韓国YMCA(東京・水道橋駅徒歩13分)で安全保障問題などをテーマに開催する予定であることが発表されました。
編集後記~昨年衆院選は「違憲」と東京高裁
 3月6日、東京高裁は「1票の格差拡大」で昨年衆院選は違憲との判決を出した。7日の「東京新聞」は「存在自体が違憲状態だと批判されながら改憲に堂々と着手しようとする、この自己矛盾を感じないのか」と、安倍首相らを厳しく批判している。この批判は正当だ。国会は、この「判決」に当座しのぎの小手先細工で応えてはならない。小選挙区制をとる限り、際限のない「違憲状態」が続かざるをえない。「1票の格差」をなくすもっとも完全な道は比例代表制以外にないことを、国会が認めるかどうかが問われている。

2013年3月5日火曜日

2013年春の憲法学習講座:3/17 大阪府教育会館


 表記の学習講座が大阪憲法会議・共同センター(Tel 06-6352-2923)の主催で開かれます。詳細はこちらのPDF版チラシをご覧下さい。

 憲法の値うちをあらためて学び、9条を守り憲法を生かす揺るぎない多数派づくりをすすめましょう。

2013年3月4日月曜日

3/8 原発ゼロへ フクシマとつながり未来をつくる:国際女性デー大阪集会


 表記の集会が、2013年3月8日(金)午後6時半から(開場午後6時)、大阪市中央区のエルおおさか大ホールにおいて、同集会実行委員会の主催で開かれます。

 作家で「さようなら原発1000万人アクション」呼びかけ人の落合恵子さんによる記念講演のほか、「大阪のうたごえ」の大合唱、運動交流が行なわれます。
  • 参加協力券800円
  • 問い合わせ:06-6761-0182 実行委員会(新婦人大阪本部内)
  • チラシのPDF版はこちら

2013年3月2日土曜日

「え、日本が戦争する国に?」:大阪憲法会議・共同センター第22号ビラ


 大阪憲法会議・共同センターがさる2月、上掲のような第22号ビラ作成しました。PDF版(表面、裏面あり)は、大阪憲法会議・共同センターのウェブ・ページからダウンロード出来ます。憲法9条を守る運動に活用しましょう。