2013年10月3日木曜日

新自由主義の帰結は繁栄者1%と停滞者99%:アベノミクスにも同じ問題


 アメリカ経済を中心に新自由主義の経済政策を批判する服部茂幸・福井県立大学教授(理論経済学)が、新自由主義とはどういうもので、なぜそれが失敗しているか、そして、安倍政権のアベノミクスも、これと同じ危険な道を行くもの、などを分りやすく解説しています(注)。

 安倍政権が「改憲」に向かうことを好まない人びとの中にも、経済政策には期待している人たちが少なくないのではかと思われますが、その期待は裏切られる可能性がきわめて大きいのです。以下に、服部さんの解説の要点を紹介します。

 ——日本や旧西ドイツとの競争に敗れ、製造業が衰退したアメリカでは、1970年代に経済が行き詰まりました。そこで、レーガン政権は、アメリカ復活のための経済政策として、「小さな政府」と規制緩和を行なう新自由主義を採用しました。しかし、この政策は失敗に終り、当時の産業衰退、労働者賃金の停滞、巨大な財政赤字と貿易赤字の四つの問題すべてが、現在のアメリカでも問題になっています。

 ——アメリカ経済の最大の誤りは、実現の見込みのない「トリクルダウン(trickle-down、富が起業や富裕層から貧困層にしたたり落ちる)」政策を有効だと思い込んでいることです。アメリカの所得を見ると、繁栄する 1% と、長期停滞を続ける 99% が存在する状況です。経済成長の目的は、一般的な国民の生活が改善することです。その意味でアメリカ経済は「停滞」したままだといえます。

 ——安倍政権のアベノミクスにも同じ問題を指摘できます。いま、円安が起きて、輸出企業が利益を上げていますが、労働者の給料は上がっていません。これでは、本当の意味での景気回復につながりません。伝統的な大型公共事業政策にも問題があります。公共事業が終了すれば、人が余ってしまいます。地域全体の経済をどうするかを考えなければいけません。

 ——金融危機を回避するためには、いまの G20 のようなところで国際協調の形で、金融問題の世界的な規制のシステムを作っていくのが理想的です。国内では、富と所得を下方に移転する政策、たとえば、富裕層税などで資金を政府に集め、ワーキングプアや失業者の雇用のために使って国全体の需要を拡大すること、が必要です。——

 [服部さんは最近、『新自由主義の帰結』(岩波新書、756円)を出版し、その中で、新自由主義は格差と貧困、金融危機という「古典的な資本主義の病」を復活させたと論じています。]

 注:2013年10月2日付け『しんぶん赤旗』「シリーズ 現代の視点」欄のインタビュー記事。

(文責・多幡)

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