2014年6月11日水曜日

「戦争する国」止めようと「九条の会」が10周年講演会:“安倍暴走” を草の根で包囲する決意新たに


 2004年6月10日に呼びかけを発表してから10年。九条の会は10日、東京・渋谷公会堂で発足10周年講演会「集団的自衛権と憲法9条」を開きました。安倍晋三首相が22日までの国会会期内に、集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行する姿勢を強める緊迫した情勢のもとで、ほぼ満席の約2千人参加者は、呼びかけ人らの発言に聞き入り、「戦争する国」を許さない新たなたたかいの出発点とする決意を固めあいました。

 同講演会については、朝日毎日東京など各紙が報道していますが、ここでは最も詳しい『しんぶん赤旗』の記事を中心に、他紙の記事も参考にして、講演会の様子を紹介します。

 呼びかけ人で作家の大江健三郎さんは、「平和な日本は戦争か平和かを選択することができる、九条の会は選択可能性を呼びかけているのです」という加藤周一氏の言葉を引用し、九条の会の仕事に力を集中する決意を表明しました。参加者は歓声と大きな拍手でこたえました。大江さんはまた、集団的自衛権が使えるようになることを目指す安倍晋三首相を「自分の望むことだけを言うグループの案を、閣議決定しようとしている」と批判し、仮に集団的自衛権を使って自衛隊員が死んでも、「政治家は反省せず、『国際的に認められた権利で殺された』と強く言うはず。もうこの国から動かせないものになる危機が迫っている」と話しました。

 呼びかけ人で憲法研究者の奥平康弘さんは、「安倍首相は集団的自衛権は、あたかも自国を守るかのように言っている。しかし、集団的自衛権は憲法9条を否定する概念で、断固つぶすしかない。それが僕たちの緊急の課題」と発言しました。

 呼びかけ人で作家の澤地久枝さんは、「憲法9条のどこに、集団的自衛権を認めるよう解釈できる余地があるのか。平和を求める市民の心を踏みにじっているのが安倍さんだ」と指摘し、「今こそ憲法を守るとき。私たちは武力を使って解決しようとは思いませんと言おう」と訴えました。

 呼びかけ人で哲学者の鶴見俊輔さんはメッセージを寄せ、「戦争への動きをとめなくてはなりません。九条の会に思いを託します」と述べました。呼びかけ人の梅原猛氏もメッセージを寄せました。

 元内閣法制局長官の阪田雅裕さんがビデオメッセージで登場し、「裏口改憲ともいうべき解釈改憲を許せば立憲主義は破壊される」とし、「最後に決めるのは世論の力。政府(安倍内閣)の主張の不当性を訴えていただきたい」と述べると、大きな拍手が湧き上がりました。

 ドイツ文学翻訳家の池田香代子さんがゲストスピーチし、「首相は、法的正当性のない諮問機関の、お粗末な議論の末に出された報告書で解釈変更をしようとしている。国の在り方を変えるのに、こんな抜け道を許してはいけない」と指摘しました。池田さんはまた、首相が掲げる積極的平和主義についても「『攻撃は最大の防御』と紙一重の言葉」と、危険性を訴え、世界の安全保障で「70年近く1人の外国人も殺したことがない自衛隊としてやれることがある」と強調しました。

 韓国・檀国大学客員教授の金泳鎬(キム・ヨンホ)さんは、「日本国憲法をアジアの平和憲法に広げるアジア市民の連帯を」と、あいさつしました。

 小森陽一事務局長が、全国7500に広がった九条の会の一斉の共同行動を近いうちに提起すると呼びかけると参加者は力強い大きな拍手でこたえました。

(文責・多幡)

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